乳酸菌とビフィズス菌(1)
2020年3月31日
「腸活」「菌活」なる言葉も生まれ、「腸内フローラ」というワードもすっかり有名になった昨今。腸内環境は、体だけでなく心の健康をも左右すると言われていますよね。
健康のため毎日ヨーグルトを食べている人も多いはず。でもそのヨーグルトに入っているのは、「乳酸菌」ですか? それとも「ビフィズス菌」ですか?
同じじゃないの? と思ったあなた。実は似て非なるものなんです。
どちらも腸にいい働きをする善玉菌ですが、学術的にはビフィズス菌と乳酸菌は違う菌です。
乳酸菌は腸内だけでなく乳製品や発酵食品などにも生息しています。乳酸菌が豊富な食べ物も、ヨーグルトや味噌など身近にたくさんありますね。
しかしビフィズス菌が生息しているのは一般的には腸内にのみ。ビフィズス菌が含まれている食品はあまり多くありません。さらに胃酸や胆汁に弱く、大腸までなかなか生きて届きません。そのため、生きたビフィズス菌を大腸まで届けられるサプリメントを活用するのもいいでしょう。
乳酸菌は小腸に多くすんでいますが、ビフィズス菌が働くのは大腸。
大腸は体の中で最も多く細菌がすんでいる場所。善玉菌が減ると悪玉菌が優勢になり、大腸環境が乱れるのはご存知の通り。
悪玉菌が優勢だと腸内に有害物質が増え、腸の免疫力も低下。腸壁の細胞がダメージを受けます。そしてお腹の調子だけでなく、体全体の健康に影響が出てしまうことも。
大腸の健康を保つことはとても大事なんですね。このとき積極的にとりたいのが、ビフィズス菌に代表される善玉菌です。
乳酸菌が乳酸を作るのに対し、ビフィズス菌は大腸のなかで乳酸に加えて酢酸を作ります。
この聞き慣れない「酢酸」がある働きをします。強い殺菌力があり、大腸菌などの悪玉菌の繁殖を抑えたり、大腸の粘膜を保護。腸内環境を整え、悪玉菌が有毒物質を作り出すのを防ぐんです。
そして大腸にいる善玉菌のうち、約99.9%がビフィズス菌で、乳酸菌は約0.1%です。大腸の調子を整えるために、ビフィズス菌はなくてはならないものなのです。
一方、小腸を活躍の場としている乳酸菌。乳酸菌を摂取して乳酸が作り出されると、腸内環境が酸性に保たれます。酸性になることで腸の運動がうながされます。酸の刺激で大腸のぜん動運動を活発にするビフィズス菌と同様、乳酸菌も便通改善効果があるというわけです。
どちらも善玉菌の代表格といわれるビフィズス菌と乳酸菌。ヨーグルトなどで手軽に摂りやすい乳酸菌も、実は胃酸によって多くは腸まで届きません。
でも死んでも役に立つのが乳酸菌の驚くところ。死んだ乳酸菌はほかの乳酸菌のエサになり、善玉菌優位にするために加勢してくれるんです。また、乳酸菌を摂取することで、大腸内にもともといるビフィズス菌が増えやすい環境に整えてくれます。
腸のため、ひいては体全体の健康を考えたときに摂りたいビフィズス菌ですが、そのパワーを発揮するためにも、ビフィズス菌と一緒に発酵食品などで乳酸菌を摂りたいものです。
またさらに、そのビフィズス菌と乳酸菌の働きを助けるといわれるのがオリゴ糖やラクトフェリン。
オリゴ糖は大豆などの豆類、玉ねぎ、バナナなどにも含まれるほか、甘味料としても発売されているので、砂糖の代わりに使ってみるのもいいかもしれませんね。
次回は、乳酸菌とビフィズス菌の種類や、ビフィズス菌が減る原因などについてもお伝えします。
参考文献
『見た目の若さは腸年齢で決まる』辨野義己(著)PHPサイエンス・ワールド新書