腸活×便秘予防(4)

2020年3月31日

食物繊維を摂りすぎていませんか? 便秘と腸活のお話

食物繊維が大事って言うけれど…

便秘にならないためには、食物繊維。

そんなイメージを持っていませんか? お通じ改善を目指して、やみくもに“繊維質の野菜”や“雑穀”を食べる。そして、「あんまり効かないぞ、むしろなんかお腹の中にガスが溜まってぽっこり感が気になる……」なんて経験をした方がいるかもしれません。果たして何が正解なのでしょうか?

まずは、「便」が私たちの“食べたもの”によって作られていることを前提に考えてみましょう。確かに、食物繊維は便の状態に大きく影響を与えるということは事実。食物繊維は、便のかさを増やす材料となるとともに、大腸内の環境を改善する腸内細菌のエサとして利用され、整腸を促す善玉菌を増やすことが明らかとなっています。もっと細かいことまで整理すると、食物繊維は大きく分けて2種に分類され、それぞれの量やバランスも重要だとされています。

【水溶性食物繊維】

食品に含まれる水分に溶けてゲル化することで、便をゼリー状に柔らかくする。イモ類、果物類、海藻類などに豊富に含まれる。

【不溶性食物繊維】

水分には溶けず、便量を増やして腸を刺激することで便通を促進する。イモ類や果物類の他、野菜類、穀類、豆類、きのこ類などに多く含まれる。

食物繊維を摂ろうとして、まずは“主食”を白米から玄米に変えたり、雑穀を混ぜたりしている人がいるかもしれません。たしかにこれらは不溶性食物繊維の摂取量を増やすことになりますが、摂りすぎると逆効果になる場合もあるそうで、お腹が張って苦しくなり、かえって便秘を助長するケース(老人性便秘や内臓下垂を伴う便秘等)が指摘されています。

玄米、黒パン、麦飯などは、食べすぎると人によっては不消化になる原因にも。

つまり、私たち現代人が不足しがちなのは、「水溶性食物繊維」なのです。水溶性食物繊維は、イモ類や果物、海藻類に多く含まれますから、食事を考える時に意識を向けるようにすると良いでしょう。

そして実は、便秘を考える上で軽視されがちなのが、「脂質」。太ることを気にして脂質をカットしたがる人も多くいますが、実は脂質は、腸の中で便のすべりを良くする働きがあります。

そこで注目したいのが、“健康オイル”。普段の調理油を“オリーブオイル”に切り替えて、スープやパンに垂らしてみたり、サバ缶などの“魚の脂(DHA・EPA)”に注目して、肉を魚に切り替えることで、便通の変化を見てみるのも良いでしょう。

サバ缶やイワシ缶はストックしておくといつでも使えて便利。調理用の基本オイルはオリーブオイルがオススメ

そこで、今日からすぐ始められる超簡単レシピのご紹介。水溶性食物繊維と良質な脂質に注目した、胃腸もあたたまりますので、玄米ごはんなどの主食と一緒に添えてみてください。

サバ缶とトマト缶で作る「美容スープ」のレシピ

【材料(2人分)】

サバ味噌煮缶詰…………1缶

カットトマト缶詰………1缶

生姜(すりおろし)……小さじ1程度

水…………………………200ml

【作り方】

(1)小鍋に材料すべてを入れる。サバ缶詰は汁ごと加え、お箸で少々ほぐして火にかける。

(2)グツグツ言い出したら、2~3分煮れば完成。

トマトとサバ、味噌が生み出す濃厚な味わいは、新鮮な組み合わせでクセになる味わいです。調理時間はおおよそ5分なので、缶詰をストックさえしておけば、忙しい朝などにも作ることができますから、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

プロフィールスギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が発売中。 Japanese Home Cooking』(英語版)が発売中。

トップページに戻る