腸活×むくみ改善(2)
2020年3月31日
夕方になると足がむくんで靴がキツくなる、飲み会の次の日は顔がむくむ、など日頃からむくみで悩んでいる人は少なくないのでは?そこで、東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)の婦人科医でプロボクサーでもある髙橋怜奈(たかはし・れな)先生に「むくみ」をテーマにお話を伺いました。
——夕方になると足がパンパンに張ったり、飲み会の次の日は顔がむくんだりします。そもそも「むくみ」はどんな仕組みで起こるのでしょうか?
髙橋怜奈先生(以下、髙橋):医学用語では「浮腫(ふしゅ)」と言うのですが、一般的に「むくんでいる」というのは、細胞の外に余計に水が入っちゃっている状態を指します。
——細胞の外?
髙橋:体の6割は水分で、その3分の2は細胞内に、3分の1は細胞外にあるのですが、そのバランスが崩れてしまって細胞の外に水が溜まった状態がむくみなんです。
細胞の外の水(細胞外液)には、血液に含まれる水分と細胞と細胞の間を埋めている水分があるのですが、これらの水分は細胞や血管などを行き来して、細胞に栄養を送ったり、老廃物を除去したりしています。
むくみの原因はいろいろあるのですが、長時間同じ姿勢でいたり、ずっと立ちっぱなしだったりと血管の循環が悪くなると血管から水分が多く流れ出してしまう。つまり、水分のバランスが崩れてむくみが起こります。
——よく、水をたくさん飲めと言いますが……。
髙橋:人間には、体内の塩分濃度を一定に保つという機能があります。例えば、何かを食べて塩分がたくさん体の中に入ると、体の塩分濃度を一定に保つために水分が増えるんです。これが塩分をとりすぎると体がむくんでしまうメカニズムです。
単純に水をとればいいのではなくて、水分の流れをよくするイメージです。なので、水をやたらにとるというよりもバランスをよくするのがいいと思います。
——じゃあ「1日に水を何リットル飲みましょう」というのは?
髙橋:あまり意味はないと思います。と言うのも、私は普段はお茶が好きでよく飲んでいるのですが、好きじゃないと続かないですよね。
例えば「お茶の代わりに水を2リットル飲むぞ!」と決めても、水があまり好きじゃなかったら大変だし、好きだったお茶も飲まなくなりませんか? せっかくお茶で水分をとっていたのにと、本末転倒なことになるので、無理なく続けられるほうがいいと思いますよ。
——確かにそうですね。
髙橋:さらに言えば、お通じとむくみも関係があります。
——そう言えば、便秘とむくみはセットで語られることが多いですね。
髙橋:体に余計に水分が溜まっているということは水分がうまく体から排出されていない状態です。普通は便に水分が含まれて、一緒に排出されるのですが、むくみは腸の中の水分がうまく排出されずにほかの場所に溜まっている状態なので、便にも水分が含まれずカピカピになってしまう。つまり、むくんで体に余計な水分があるのにもかかわらず、便はコロコロということになってしまう。
——そういうメカニズムなのですね。解消する方法は?
髙橋:歩いたり、動いたりして血流をよくして水分と便を一緒に出すことですね。動くことで腸も動きます。例えば、手術後の患者さんも次の日から動いてもらうのですが、ずっと寝た状態だと腸は動かないんですね。血栓や腸閉塞を予防するために動いてもらいます。腸が動けばお通じがよくなるし、むくみも解消します。