肌が老化するのはなぜ?
2021年9月30日
鏡を見て、「あれっ?」。そんなことが増えてくる中年期以降。シーツのあとが取れない、シミが増えた、頬の毛穴が広がってきた……。
「老化」が進んでいくのが自然の摂理とはいえ、そもそもどうして肌の老化は引き起こされるのでしょうか。また習慣を改めることで、老化を遅らせることはできるのでしょうか?
ビタミンやミネラル類のほかレスベラトロール、NMNなど美肌のためにとりたい成分を紹介した「体の内側からも対策したい! 美肌のためにとりたい成分」に引き続き、今回は肌の老化のメカニズムについて解説します。
甘いものやご飯などの「糖質」。美味しくてつい食べすぎてしまいがちなものですが、とりすぎると肌が老化することがわかっています。肌老化の40〜50%は「糖化」によってできるAGE(ブドウ等がタンパク質と結合することでできる物質)が原因。活性酸素とAGEは同時に発生し、それが肌だけでなく全身の老化を招くといわれます。
でも、行き過ぎた糖質オフや脂質カットのダイエットは、現代人に多い隠れ栄養失調を招きます。間違ったダイエットにより、特に女性がもともと不足しがちなタンパク質やビタミン・ミネラル類がさらに足りなくなると、かえって肌はカサカサにしわっぽくなり、肌は老けた印象になってしまいます。バランスよく必要量を摂取するようにしましょう。
また栄養素をしっかり摂取しても、吸収されなければ意味がありません。体内に吸収させるためには、腸内環境を整えることも大切です。
近年よく聞かれるようになった「光老化」という言葉。紫外線が肌の老化を進めることはもはや美容界の常識となりました。紫外線を浴びた量が多ければ多いほど、しみ・しわだけでなく、たるみや肌のくすみといった老化が生じます。
地上に届く紫外線で肌に有害とされるのが「UV-A」「UV-B」。肌が赤くなったり水膨れを起こしやすいUV-Bと、真皮細胞に到達し光老化の原因となるUV-Aはどちらもきちんとカットしたいもの。特にUV-Aは曇った日の窓ガラス越しにも影響を及ぼします。曇りの日でも対策を忘れずに。
必携なのが日焼け止めですが、SPF値が高いほど良いというわけでもなさそうです。SPFが15あれば、真皮に届く紫外線の防御率は93%以上となり、SPF30なら約97%、SPF50で98%と大差はなくなってきます。SPF値よりも大事なのは、こまめに塗り直すこと。屋外で過ごすなら2〜3時間おきが適当です。今はパウダリーなど手軽なものもありますね。
しかし一方、紫外線は体にとっては大事なものでもあります。ビタミンDを生成し骨を強くする、体内時計を正しく機能させるためにも必要。適度に浴びつつ、顔など気になる箇所はしっかりガードしましょう。
また、パソコンやスマホから発せられるブルーライトも、浴び続ければ肌老化を加速させます。現代の生活に切り離せないものですが、だらだら見るのをやめてみるなど、上手に付き合っていきたいものですね。
「無添加」「つけているほど肌にいい化粧品」……近頃はそううたう化粧品も増えてきました。でも、それがたとえオーガニックだったとしても、長時間メイクをのせていて肌にいいことはありません。長時間メイクをしたままだと、大気汚染物質や皮脂と肌の上で混ざり合い酸化します。それが毛穴の開きや黒ずみを引き起こすだけでなく、しわやしみなど老化の原因になってしまいます。日焼け止めも年中塗るのが良いとされますが、帰ってきたらすぐに落としましょう。
また、美肌ローラーやマッサージも、美容に熱心な人ほど行っているかもしれません。でも、肌を摩擦するほど、皮膚はたるんでしまいます。顔の皮膚はじん帯で骨とつながっていますが、加齢だけでなく、マッサージなどの摩擦や刺激によっても伸びてしまうのです。
肌はもともと、美しくいられる底力を持っています。その力を削がないよう、シンプルで優しい、刺激のないケアを心がけてみてください。
参考文献
『美容皮膚科医が教える「完全毛穴レス肌」を叶える8つの美肌習慣』(山本周平/クロスメディア・パブリッシング)、『「無駄なケアをやめる」から始める 美肌スキンケアの新常識大全』(西嶌順子/宝島社)、『美容常識の9割はウソ』(落合博子/PHP)