便のお悩み(2)排便回数
2020年3月31日
“ウンチ”は、できれば毎日出してすっきりさせたいと思う人が多いはず。子どもには「朝ウンチを出して行こうね」と促したりもしますよね。
でも、正常な便の回数とは、一体何回なのでしょうか?
毎日朝に排便する人もいれば、週に3、4回程度の人、1日2回出る人もいるでしょう。
実はこの例はみんな正常範囲内の回数なんです。
1日3回の人でも、正常範囲内。一方週3回だとしても、すっきり出ているのであれば便秘ではありません。
ただ、あまり長い間便が出ないということは、それだけ不要なものが溜まっているということ。体にとってはあまり良いこととは言えませんね。
たとえ回数が少なめでも、すっきり出ていれば「便秘」ではないんです。
反対に、毎日出ていても排便量が少なく残便感があったり、排便に苦痛を感じるなど、快適に排便できない状態は便秘と定義されています。
便秘を訴える人は、男性よりも女性に多く、また80歳以上の高齢になると男女の差がなくなり1割が便秘です。
便秘になる原因は様々で、たとえば
・水分不足
・極端に少ない食事量
・食物繊維の少ない食事
・腸の運動の低下
・筋力低下
・消化器系の疾患
・内服薬の副作用
など、さまざまな要因が考えられます。
自分が便秘であるかないかは、排便回数よりも「快適に排便できているか」に注目しましょう。
野菜などをたくさん食べる人は量が多く、肉をたくさん食べる人は少なくなる傾向があり、かさが減ればそれだけ回数が減ることが考えられます。
高齢者や若い女性など少食になりがちな人は、食事量が少ないために便秘になることも。特に朝食をきちんととることが大切です。
便秘を予防するために効果的なのは規則正しい日常生活と、適切な食事、適度な運動ですが、食事に食物繊維を多く取り入れることも有効です。
厚生労働省によれば、快便生活のためにも18〜20gの食物繊維を摂ることが勧められています。わかりやすく、20gと覚えておきましょう。
とはいえ、野菜や海藻だけで食物繊維を20g摂るのは、なかなか大変。
たとえば食物繊維の多いごぼうは80gのなかに4.6g、こんにゃく115gに2.5g、キャベツは45g食べても0.8gほど。
難しそうであれば、食物繊維入りのサプリメントやドリンクで補助するのも手かもしれません。
もし食生活の乱れなどの生活習慣によるものなら、自分で改善していくことができます。
お伝えした通り、健康な方が食物繊維を摂ることはとても有効。ほかにも、便秘予防のために有効なことは
・水分を十分に摂る
・3食しっかり食べる
・お腹、腸を温めて、マッサージする
・運動をする
などがあげられます。
また「ビフィズス菌」などの善玉菌も、便通をよくする作用があります。ビフィズス菌の作用により有害な菌が抑制され、腸内フローラが改善。アンモニアやインドールといった腐敗産物が減り、便秘が改善されやすくなります。
便秘によって排便回数が少なかった場合は、これらを実践することで本来の回数に戻っていくかもしれません。回数だけでなく、「いいウンチ」をするためにも、ビフィズス菌は有効です。
次回は、気になる便のにおいについてお話しましょう。
参考文献、サイト
愛知県薬剤師会「便でわかる体の調子」(https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3543.html)/神奈川県衛生研究所「うんちっておもしろい」(http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/014_kids/14_infection_013.htm)/『慢性便秘症診療ガイドライン』(2017)